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【UltraSync BLUE】まだ導入していないの?コスパ最強!マルチカム撮影の救世主!簡単タイムコード同期【ᓚᘏᗢ² LAB #1】


ᓚᘏᗢ² LABは、映像に関するおもしろい情報や気になることなどを発信しつつ、編集技術の向上とアフィリエイト収益アップを目指すコンテンツです。

一回目となる今回紹介するのはATOMOS社のUltraSync BLUEです。この製品の最大の特徴は10m以内の近距離通信・Bluetoothを使用して最大6台のカメラやオーディオレコーダーを同時にタイムコードで同期することです。

 

使用機器と設定

ᓚᘏᗢ² LAB #1 UltraSync BLUE

使用する機器はiPhoneアプリのUltraSyncBlueSlate、Nikon Z 8、TASCAM Portacapture X6とATOMOS UltraSync BLUEです。iPhone以外は電源を落としてありますが、これらは事前にUltraSync BLUEとペアリングをしてあります。

Z 8は4K30pで撮影を行うため、UltraSync BLUEのフレームレートは29.97fpsに設定、「Free-Run」モードで動作するようになっています。また、タイムコードを記録できるファイル形式は決まっているので、動画はmov形式、音声はwav形式を選択してあります。

 

タイムコードの同期手順

ᓚᘏᗢ² LAB #1 UltraSync BLUE

始めにUltraSync BLUEの電源を入れ「Run」を選択し、その後「Confirm Above」を選択すると「Free-Run」でタイムコードが走り出します。

次にiPhoneアプリのUltraSyncBlueSlateを起動。接続するとUltraSync BLUEと同期し、フレームレートが29.97FPSと表示され、タイムコードも同期されることがわかります。

続けてZ 8を起動、しばらくすると「TC:–:–:–:–」がUltraSync BLUEと同じタイムコードに変わります。

最後にPortacapture X6を起動します。
時分秒表示をタップするとタイムコード表示に切り換わり、こちらのタイムコードも同期されていることがわかります。

その後、UltraSyncBlueSlateの「設定アイコン」をタップし「Jam Current Time」を選択するとiPhoneの時刻を反映することができます。

実際にタイムコードが同期できることを確認するために、Z 8の動画ファイルとPortacapture X6の音声ファイルに録画・録音を行います。

今回の実演では音声のみが必要だったので「VOICEVOX:ずんだもん」に1から40まで数えてもらいました。お気づきかもしれませんが、ナレーションもずんだもんが担当しています。

 

Davinci Resolveでタイムコード同期

ᓚᘏᗢ² LAB #1 UltraSync BLUE

タイムコードの同期には、DaVinci Resolveを使用します。まずタイムラインに動画と音声を適当に配置します。ビデオ1とオーディオ1が動画ファイル、オーディオ2が音声ファイルです。音声波形が小さいためボリュームを調整、波形を大きくします。続けて、環境音が思っていたよりも気になったのでVoice Isolationを使ってノイズを下げます。

これらの同期を「タイムコードを使用」を選択して行います。一瞬で同期することができました。再生をして確認を行います。

同期はされましたが、音がわずかにずれていることがわかったでしょうか。音声の調整は「エディット」ページでは難しいため「Fairlight」ページで行います。

ᓚᘏᗢ² LAB #1 UltraSync BLUE

拡大すると1フレーム(約33ms)ぐらいずれていたので波形を合わせます。ほかの箇所の波形を見て大丈夫そうだったので、再度、再生をして確認を行います。これで大丈夫になりました。

再度、「エディット」ページに戻ります。動画と音声の両方とも音声データが存在するので今度は「波形を使用」して同期を行います。短いファイルなので処理はすぐに終わりましたが、音声を解析後に同期するため長いファイルほど時間がかかります。また、音声が一致しない場合は同期ができません。「Fairlight」ページに移動するとこちらはズレもなく一致していました。

今回はタイムコードを使用した同期よりも波形を使用した場合のほうがより正確に同期することができましたが、実際には毎回音声で同期を取ることが可能であるとは限りませんし、撮影・録音データが増えるほど手間も増えます。これらはタイムコードを導入することで大幅に負担を減らすことができるのではないでしょうか。

 

UltraSync BLUEについて

日本では、UltraSync BLUEはTimecode Systems社から2018年10月に発売されました。2019年10月にATOMOS社がTimecode Systems社を買収したので、現在はATOMOS社から発売されています。

発売から5年ほど経っていますが、対応している製品が少なかったために画期的な製品でありながら知名度は低く存在を知らない人も多かったのではないでしょうか。ただ、ここ1〜2年で対応している製品が増えてきたので今後に期待がもてる製品だと思います。

また、この製品はBluetoothだけでなく、RF(Radio Frequency)という最大200メートルの無線通信が可能です。RFに対応した製品が複数台あると、より離れた場所からでも同期させることが容易になり撮影の幅が広がると思います。

低コストで簡単に複数台のカメラとオーディオレコーダーをタイムコードで同期することが可能な製品ですが、気をつけなければいけないことがあります。それは、無線通信を使用した製品のため、技適マーク(技術基準適合証明)が必須となっています。海外から輸入すると日本正規代理店から購入するよりも安く手に入れることが可能ですが、電波法に違反する可能性があるので注意が必要です。

 

追記

Bluetooth機器全般に言えることかもしれませんが、混雑している場所ではUltraSync BLUEと同期している機器の通信が不安定になりやすいようで少し離れた距離(1m程度)でも切断されることがあります。
その他、スマホなどのアプリケーションからBluetoothで同時に接続することができないのは不便です。

 

使用機器・ソフトウェアとバージョン情報(2023年11月10日)

使用機器

ATOMOS UltraSync BLUE(F/W : V3.15 / BLE : V4.07)
https://www.atomos.com/accessories/ultrasync-blue

Nikon Z 8(Ver.1.01)
https://www.nikon-image.com/products/mirrorless/lineup/z_8/
https://amzn.to/3QRArlp

TASCAM Portacapture X6(H/W : Version 1.10 build 065 / H/W : Version 1.00 build 006)
https://tascam.jp/jp/product/portacapture_x6/top
https://amzn.to/3Gcw6Dr

iPhone 15 Pro Max(iOS 17.1.1)
https://www.apple.com/jp/iphone-15-pro/
https://amzn.to/3QvqjNL

ソフトウェア

DaVinci Resolve Studio(Ver. 18.6.2 BUILD 2)
https://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve/studio
https://amzn.to/3u6ytVo

VOICEVOX(Ver. 0.14.8)
https://voicevox.hiroshiba.jp/

iPhone UltraSyncBlueSlate(Ver. 1.8)
https://apps.apple.com/jp/app/ultrasync-blue-slate/id1441461069

ナレーション

VOICEVOX:ずんだもん